CROSS TALK社員対談

IT部門と電気設計部門の仕事、
そのおもしろさとやりがいに迫る!
清水智弘 ITシステムデザイン部
増井崇史 電気設計部

土木とIT、鉄道と電気制御。これらの技術の融合は意外に想像しづらい。
土木にITを導入することで生まれる新しい仕組みの構築、
駅や鉄道における電気制御の醍醐味を
ふたりのキーパーソンの声を借りて紹介します。

土木とITを融合し、従来の方法に新たな価値を見つける。
この仕事の根幹は「仕組み」をつくること

私の所属するシステム&テクノロジーグループはICTを使って、鉄道事業における土木・建築といった建設分野を中心としたシステム開発や技術開発をする部署、ひいては鉄道事業の全体最適のために管理や運用の仕組みそのものを考える部署です。私はその中でもテクノロジー寄り。トンネルや橋りょうなどの土木構造物の維持管理のためにGISや3DCGをはじめ、新しい技術を取り入れた維持管理システムの開発などをしています。大きな手応えを感じた案件は橋りょうの点検を支援するシステムの開発・運用です。従来、橋りょうの定期点検は展開図をもとに、現場で作業員が点検箇所を書き込み、それを社内でデータ化していました。熟練した作業員であれば展開図から点検箇所を読み取るのは簡単ですが、新人の作業員にとっては時間を要する。この現場での課題を解決するため、3Dでひび割れや剥離といった変状やそれに対する補修の内容をフォーマット化したシステムを開発しました。3Dによる見やすさ・わかりやすさを活かし、現場の作業員がタブレットで簡単にチェックできるというものです。このシステムは北陸新幹線の上越妙高駅から金沢駅間の橋りょう検査で試験的に運用されています。

うれしいことに「便利になった!」という現場からの声も届いています。しかし、私たちの仕事はこれにとどまりません。課題解決のためのシステムづくりから、新たな価値を創り出すためのシステムづくりへ。この検査システムを運用することで、変状や補修の場所と内容に関する情報が正確に集まるようになったということは、このデータをもとに橋りょうの劣化予測もできるのではないかと考えています。さらに俯瞰的に情報を捉え、GISと連携させる。

たとえば山岳地や海に近い土地では、劣化のスピードも違うはず。これら地域性による変化の検討を含め10年先、20年先の予測も可能にする「仕組み」を考えるのが私たちの提案する付加価値なのです。JR西日本は多岐に渡る部門と多くの人が存在する、大きな組織です。その中で私たちのつくり出すシステムが新しい仕組みを生み出し、それによって部門や人をつなげていくことができたら…。そんな夢を描きながら、いま胸を張って、この仕事を誇れる自分がいます。

「土木の知識を持っているメンバーは少ないので、土木とITが融合した仕事に興味のある方にも活躍ステージは広がっていますよ」と清水さん

設計に思い切り専念できる環境に喜びを感じながら、
新たな鉄道信号技術を提案していきたい

列車がダイヤどおりに動いているのは信号が働いているからです。私はたとえば中央の指令所から出た指令を各駅で制御し信号機に伝達するシステムや、プラットホームに設置している緊急時の押しボタンなどの設計も行っています。この仕事の楽しさは、自分でつくった設備が実際に動いているのを見られること。入社間もない頃、実家の近くの踏切の信号機を見たときは感動しましたね。思い出に残っている仕事は、入社3年目、山陽本線東姫路駅の開業に伴い、隣の御着(ごちゃく)駅で必要になったATS(自動列車停止装置)や信号機の設置などを含む大規模改良工事です。

その中でも大きかったのは信号機器室の移転。これは信号設備を制御するための駅の心臓部のようなもので、この設計を任されました。工事は夜間に施工しますが、山陽本線は貨物列車も走るため、時間が限られた中での施工が必要でした。機器室の中で切り換えるか、それとも信号機ごと切り換えるか。切り換え方法に最も悩んだ工事でしたが、無事完了し、東姫路駅も開業することができました。

私たちが忘れてはならないこと、それはコンサルタント会社であるということです。JR西日本から工事の注文を請けますが、その案件に対して「こんな方法がある」という提案が期待されています。たとえば工期短縮によるコストダウンなどです。そのためには新しい技術を身に付けていくことが大切です。鉄道会社さんの仕事はメンテナンスが中心、工事会社さんは設計図面通りにものをつくること、そしてその設計をやるのが私たち。入社して一番良かったと思えること、それは設計の楽しさを思い切り味わっていることです。

「電車に乗ると、電気制御で動くいろいろな設備が目に入ります。今つくっているものが製品になり、動き、お客様の安全を支えていると思うとうれしいですね」と増井さん

おふたりに質問!
「学生時代に学んだ分野と、事業内容のどこがつながった?」

清水「大学院でITを使った街づくりを学ぶ中で、特に地理情報を使って広域的に都市を分析するGISと狭域的に都市を分析する3DCGを組み合わせた研究をしていました。たとえば新しい駅をつくった場合、周囲にどのような変化をもたらすかなど、GISとCGを使った研究が中心でした。土木分野の研究や仕事は橋りょうや道路など、自分が描いたものがかたちになることにやりがいを感じるのが一般的だと思うのですが、私の場合は少し違っていて、最新の技術を使って、できなかったものをできるようにしたいという思いが強かった。ですから、土木とITを融合し、新しい技術を開発している当社の事業内容は私のめざすものにぴったりでした」

増井「大学院では電波の研究をしていました。就職活動を始めた当初はメーカーへの就職を考えていました。当社の存在を知ったのは大学院の友人から。『こんな仕事もあるぞ』と事業内容を教えてくれたのです。その話を聞いた後、電車の車窓から外を眺めたとき、信号機を見つけ、電車の仕事もおもしろそうだなと思い始めました。考えてみると、信号制御は線路、照明、信号機、電光掲示板、列車無線など領域も広い。とてもロジックな分野だと感じ、入社を決めました。私も友人から聞くまでは、鉄道分野で電気・電子の知識が活かせるとは思っていなかったので、電気・電子出身の学生はぜひ注目して欲しいですね」

土木建築の知識にITを活用した新システムの開発や、鉄道電気設備や建物関連電気設備の設計など、「IT」と「電気」の技術領域は幅広い

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